材料・技術

樹脂3Dプリントの後処理完全ガイド:研磨・塗装・表面仕上げの方法と選び方

2026年4月24日
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樹脂3Dプリントの後処理完全ガイド:研磨・塗装・表面仕上げの方法と選び方

後処理が品質を決める

3Dプリントで造形した直後の部品は、積層跡や表面の粗さが残っており、そのまま最終製品として使えないケースがほとんどです。後処理(ポストプロセッシング)を適切に行うことで、見た目・強度・耐久性が大きく向上します。

本記事では、FDM・SLA・SLSの各方式別に、代表的な後処理方法とその選び方を解説します。

FDM(熱溶解積層)の後処理

FDMは積層跡が最も目立ちやすい方式です。用途に応じて以下の後処理を組み合わせます。

① サンディング(研磨)

最も基本的な後処理です。耐水ペーパーで段階的に番手を上げながら研磨します。

  • 粗削り:#120〜#240で積層跡を削る
  • 中仕上げ:#400〜#600で表面を整える
  • 仕上げ:#800〜#1200で滑らかに仕上げる

コストが低く、小型部品に適しています。ただし複雑な形状や細部には研磨が届きにくいという欠点があります。

② アセトン処理(ABSのみ)

ABS素材限定の後処理です。アセトン蒸気にさらすことで表面が溶融・再固化し、積層跡が消えて鏡面に近い仕上がりになります。

  • メリット:短時間で高光沢の仕上がり、複雑形状にも対応
  • デメリット:寸法が若干変化する、換気が必須、PLAには使用不可

③ サーフェイサー+塗装

研磨後にサーフェイサー(下地塗料)を吹き付け、アクリル塗料やウレタン塗料で仕上げます。

  • 展示モデル・プロトタイプの外観仕上げに最適
  • 色指定がある場合はRAL番号やマンセル値で指定すると正確
  • 塗膜の厚みが寸法に影響するため、嵌合部は塗装前に確認が必要

SLA(光造形)の後処理

SLAは造形後に洗浄とUV後硬化が必須です。

① 洗浄(IPA洗浄)

造形後の部品にはレジンが付着しています。イソプロピルアルコール(IPA)で洗浄し、未硬化レジンを除去します。洗浄が不十分だと表面がべたつき、強度も低下します。

② UV後硬化

洗浄後にUVランプで追加硬化させます。これにより強度・硬度が大幅に向上します。後硬化なしでは本来の強度の60〜70%程度しか発揮できません。

③ サポート除去と研磨

SLAはサポート材の除去跡が残ります。ニッパーで除去後、#400〜#800で研磨すると跡が目立たなくなります。透明レジンの場合は#2000まで研磨してコンパウンドで磨くと透明度が回復します。

SLS(粉末焼結)の後処理

SLSはサポート材不要ですが、粉末が表面に残るため独自の後処理が必要です。

① 粉末除去とブラスト処理

造形後の部品から余剰粉末を除去し、ショットブラストで表面を均一に整えます。これだけで表面粗さが大幅に改善されます。

② 染色

SLSのナイロン素材は染色が可能です。染料液に浸漬するだけで均一に着色でき、塗装と異なり塗膜の剥がれがありません。黒・グレー・各色に対応しています。

③ 含浸処理

エポキシ樹脂などを含浸させることで、表面の微細な空隙を埋め、耐水性・気密性を向上させます。流体部品や気密が必要な部品に有効です。

後処理の選び方:用途別まとめ

用途推奨後処理方式
展示・プレゼン用モデル研磨+サーフェイサー+塗装FDM/SLA
機能確認・嵌合確認軽研磨のみFDM/SLS
高光沢仕上げアセトン処理(ABS)またはSLA研磨FDM(ABS)/SLA
着色が必要な機能部品染色SLS
気密・耐水が必要な部品含浸処理SLS

見積もり時の後処理指定のポイント

後処理の有無・種類によって、コストと納期が大きく変わります。見積もり依頼時に以下を明記しておくとスムーズです。

  • 仕上がりの目的:外観確認用か、機能確認用か
  • 色指定の有無:色が必要な場合はRAL番号や参考画像を添付
  • 寸法精度への影響:塗装・含浸は寸法に影響するため、公差が厳しい部分は事前に相談

ツムリでは、造形から後処理まで一括で対応しています。「どんな仕上がりにしたいか」をお伝えいただければ、最適な後処理方法と費用をご提案します。

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